歯の移植
目次
歯の移植
(自家歯牙移植)
について

自分の歯で、再び噛める喜びを
歯の移植とは?
「歯の移植(自家歯牙移植)」とは、虫歯や歯周病などで失ってしまった歯の代わりに、歯の移植ができる条件ご自身の不要な歯(多くは親知らず)を別の場所に移植する治療法です。
インプラントのように人工の材料を使うのではなく、自分自身の歯を利用するため、生体親和性に優れ、自然な噛み心地を取り戻せるのが特徴です。
歯の移植ができる条件
すべての方に適応できるわけではありませんが、以下の条件を満たすと移植が可能なケースがあります。
移植する歯(ドナー歯)の条件
- 根の形が単純で、健康な歯である
(多くは親知らずが該当) - 虫歯や歯周病がない
移植先(受け入れ側)の条件
- 骨がしっかりしている
- 感染や膿が広がっていない
- 移植スペースが確保できる
年齢・全身状態
- 成長期を過ぎており(概ね16歳以上)
- 骨の治癒力が十分にある方
治療の流れ
診査・診断
(CT撮影・マイクロ観察)
親知らずや移植予定部位CTで立体的に確認。
マイクロスコープを用いて、歯根の形や感染の有無を精密に診断します。

ドナー歯の抜歯・移植
移植に適した形の歯を慎重に抜歯し、
受け入れ先に合わせて位置・角度を微調整しながら移植します。
この際、歯根膜という「歯を支える薄い膜」を傷つけないことが成功の鍵です。

固定・安定化
移植後は歯をワイヤーやレジンで固定し、骨と歯がしっかり結合するのを待ちます。安定するまでの期間は2〜3週間程度です。

根管治療・被せ物の製作
移植した歯の神経処置を行い、根の状態を整えてから、セラミックなどの被せ物で形と噛み合わせを再建します。

経過観察・メンテナンス
定期的に噛み合わせや骨の安定を確認。
良好なケースでは、10年以上機能している報告もあります。

のだデンタルクリニック西荻窪院の
想い
歯の移植は、「失った歯を補う最後のチャンス」かもしれません。私たちは、患者さんの大切な歯を一本でも多く残し、“自分の歯で噛み続ける未来”をサポートする医院でありたいと考えています。
抜く前に、一度ご相談ください。
その歯、まだ活かせるかもしれません。
歯の移植の
メリット・デメリット

歯の移植のメリット
- 自分の歯で噛める
(人工物ではない自然な感覚) - 生体親和性が高く、体が受け入れやすい
- 免疫反応が起こらず、
炎症のリスクが少ない - 歯の機能・
噛み合わせを自然に再建できる - 条件を満たせば保険適用が可能
(※一部のケース)
デメリット・注意点
- すべての親知らずが
移植に使えるわけではない - 抜歯や固定など、外科的な処置が必要
- 治癒には数ヶ月かかる場合もある
- ドナー歯が無い場合は行えない
当院の
歯の移植治療の特徴

精密な診断と設計
CTで神経・骨の位置関係を立体的に把握し、マイクロスコープで歯根膜や骨の細部を確認しながら操作します。
これにより、歯根膜を傷つけずに移植できる確率が高まります。
保存治療の延長線上にある移植
当院では、「できる限り自分の歯を残す」ことを理念としています。
そのため、インプラントの前に“自分の歯を活かせないか”という視点から、歯の移植という選択肢を検討します。
治療後のサポート
移植した歯が長く機能するよう、マイクロスコープでの定期チェック、噛み合わせ調整、唾液検査によるリスク評価などを行い、「移植して終わり」ではなく、「使い続けるサポート」を徹底しています。
院長より
「歯の移植は、歯科医師の技術と繊細な手の感覚が問われる治療ですが、成功したときの患者さんの笑顔と『自分の歯で噛める喜び』は何にも代えがたいものです。
“抜く”ではなく“活かす”を大切にしたい。
その想いで、一つひとつの症例に向き合っています。」

費用について

- 初回検査(CT・診断):10,000円(税込)
- 移植手術費用:
100,000〜150,000円(税込) - 根管治療・被せ物(セラミック):別途費用
※移植条件を満たし、保険適用が可能なケースもあります(例:隣接歯欠損・機能回復目的など)。
※適用可否は診査時にご説明いたします。
歯の移植の保険適用について
条件を満たせば、
保険で行える場合もあります。
歯の移植(自家歯牙移植)は、すべてが自費治療になるわけではありません。一定の条件を満たした場合、健康保険の適用が可能です。
ただし、適用の可否は「移植の目的」や「歯の状態」によって異なります。
保険が適用されるケース
以下のような条件をすべて満たす場合、保険適用で治療を行うことができます。
保存不可能な歯を抜歯し、
その部位に移植する場合
「すでに欠損している場所への移植」は保険適用外です。
つまり、壊れてしまった歯を抜歯し、その同じ位置に親知らずなどを移植する場合のみ、保険の対象となります。
他院ですでに抜歯をされている場合、その部位への移植は保険が使えません。そのため、抜歯をされてしまう前に一度ご相談ください。
抜く前の診断・計画が、保険適用の可否を左右します。
移植歯(ドナー歯)がご自身の歯であること
人工歯や他人の歯ではなく、患者さんご自身の健康な歯を使用する必要があります。
多くの場合、親知らず(智歯)を利用します。
移植後に
咬合機能が回復できる見込みがあること
骨や歯ぐきの状態が良好で、移植した歯が噛む力を取り戻せると判断できる場合に限られます。
保険適用外となるケース
以下のようなケースでは、保険の対象外(自費診療)となります。
- すでに歯を抜いてしまっている
欠損部への移植 - 審美目的(見た目の改善)のみを
目的とする場合 - ドナー歯の状態が悪い、
または複雑な根形態をしている場合 - インプラントやブリッジ治療と
併用する場合 - 成長期の未成年で
骨が安定していない場合
保険診療と自費診療の違い
| 項目 | 保険診療 | 自費診療 |
| 適応条件 | 保存不可能な歯の抜歯と同時移植に限る | 欠損部や審美目的など幅広く対応可能 |
| 費用目安 | 数千円〜 1万円前後 | 約10万〜 15万円 前後 |
| 使用機器 | 保険範囲の 器具・材料 | マイクロスコープ・ 高精度機器 を使用可能 |
| 被せ物 | 金属冠など 保険材料 | セラミックなど自由に 選択可能 |
| 経過管理 | 保険期間内 | 長期的なメンテナンスが可能 |
当院でのご案内
のだデンタルクリニック西荻窪院では、治療前にCT・マイクロスコープによる精密診査を行い、「保険で行えるケース」「自費での方が確実なケース」を明確にご説明しています。
「抜く前に一度ご相談を」
それが、歯の移植を成功させる第一歩です。
院長より
「歯の移植は、“抜いて終わり”ではなく、“次へつなぐ治療”です。
ただし、抜歯のタイミングを誤ると保険が使えなくなってしまうことがあります。そのため、抜歯が必要と言われたときこそ、早めにご相談ください。
私たちは、できる限り自分の歯を活かす選択を一緒に考えます。」
歯の移植について
よくある質問

Q. 誰でも歯の移植はできますか?
A. 骨や歯の状態によっては難しい場合もあります。まずはCT検査で診断します。
Q. 移植の成功率はどのくらい?
A. 条件が整っていれば、約90%と高い成功率が報告されています。
Q. インプラントとの違いは?
A. 移植は「自分の歯」、インプラントは「人工の歯」。
どちらも噛む力を回復しますが、自然な感覚や骨の再生力は移植が優れています。
Q. 移植した歯は
どれくらい持ちますか?
A. 適切にメンテナンスを行えば、10年以上機能している例も多くあります。
歯の移植と
インプラントの違い

どちらも“噛めるようにする治療”、
でも考え方は少し違います
歯を失ったときの代表的な治療法として「歯の移植」と「インプラント」があります。どちらも噛む機能を回復させることが目的ですが、
自分の歯を使うか・人工の歯を使うかという点で大きく異なります。
比較表
| 項目 | 保険診療 | 自費診療 |
| 使用 するもの | 自分の歯 (主に 親知らず など) | チタン製の 人工歯根 |
| 素材の違い | 生体組織 (自然歯) | 人工物 (チタン・ セラミック) |
| 骨との結合 | 歯根膜 (クッションのような膜) を介して 結合 | チタンと 骨が 直接結合 (オッセオインテグレーション) |
| 噛み心地 | 自分の歯と ほぼ同じ 感覚 | 少し硬めの 感触 (生理的 動きはなし) |
| 適応範囲 | ドナー歯 (移植できる歯)が ある場合に 限る | 歯がない 場所すべて に適応可能 |
| 外科的侵襲 | 比較的 少ない (1回の 手術) | 骨への ドリル形成 を伴う 外科手術 |
| 治療期間 | 約2〜3ヶ月 (安定化 まで) | 約4〜6ヶ月 (骨結合 まで) |
| 寿命・ 成功率 | 条件が 良ければ 10年以上 (成功率 約90%) | 長期的に 安定 (成功率 約95%) |
| 感染リスク | 自分の 歯のため 免疫反応が 少ない | メンテナンス不足で インプラント周囲炎の リスクあり |
| 保険適用 | 条件を 満たせば 適用可 | 保険適用外 (自費) |
| 費用目安 | 保険 適用時: 数千円〜 / 自費: 約 10〜 15万円 | 約35〜 50万円 /1本 |
| メンテ ナンス | 定期的な 噛み合わせ ・清掃 チェック | 専用 器具での 清掃・ 定期管理 が必須 |
| 審美性 | 天然歯 なので 自然 | セラミック 製上部構造 で自然だが 人工物 |
歯の移植のメリット
自分の歯を使う自然な治療
違和感が少なく、噛んだときの“しなり”や“感覚”が自然。
生体親和性が高く、拒絶反応がない
人工物ではないため、身体が受け入れやすい。
条件を満たせば保険適用が可能
経済的負担を抑えて機能回復ができる。
骨の再生力を促す効果も
歯根膜が生きているため、骨吸収を防ぎやすい。
歯の移植のデメリット
ドナー歯(移植できる歯)が必要
主に親知らずなど、適切な形・大きさの歯が必要です。
成功には精密な技術が必要
歯根膜を傷つけずに抜歯・移植する繊細な操作が必要。
(※当院ではマイクロスコープで精密に実施)
治療期間中は安静期間が必要
移植後2〜3週間は噛む力を避け、安定化を待つ必要があります。
インプラントのメリット
歯が無い部分すべてに適応可能
ドナー歯がなくても治療可能で、複数歯の欠損にも対応。
見た目が自然で強度が高い
チタンと骨が結合するため、しっかり噛める。
耐久性が高く、長期間安定
適切なメンテナンスで10〜20年以上の使用も可能。
インプラントのデメリット
自費治療のため費用が高い
1本あたり35〜50万円前後と高額になりやすい。
外科的負担がやや大きい
骨にドリルで穴を開けるため、治癒期間が長くなる。
インプラント周囲炎のリスク
清掃が不十分だと、歯周病に似た炎症を起こすことがある。
当院の考え方
のだデンタルクリニック西荻窪院では、「残せる歯を活かす」ことを第一に考えています。
もし親知らずなどのドナー歯があり、条件が整うなら、まずは“自分の歯で噛める可能性”を検討します。
ただし、骨の状態や噛み合わせなどにより、インプラントがより適しているケースもあります。
CT・マイクロスコープによる精密診断を行い、患者さん一人ひとりに最適な選択肢をご提案いたします。
歯の移植を長持ち
させるためのポイント

“移植したあと”こそ、
大切にしてほしい時間です
歯の移植は、成功して終わりではありません。
移植した歯を長く機能させるためには、術後のケアと定期的な管理がとても重要です。
正しいケアを続ければ、10年以上しっかり噛める歯として機能することも珍しくありません。
術後の安静と清潔な環境を保つ
移植後2〜3週間は、歯が骨と結合するための大切な時期です。この間は以下の点に気をつけてください。
- 固いものを噛まない
- 歯ブラシの毛先を移植部に強く当てない
- 処方された抗生剤・
痛み止めをきちんと服用 - 指や舌で移植部を触らない
当院では、術後1週間で経過チェック・消毒を行い、異常がないかマイクロスコープで細かく確認しています。
噛み合わせのバランスを定期的に確認
歯の移植後は、噛み合わせのバランスが少しずつ変化します。
放置すると、噛み合わせの偏りから歯根や骨に負担がかかる場合もあります。
当院では、移植後1か月・3か月・6か月の定期調整を推奨しています。必要に応じて咬合調整を行い、長期的な安定を保ちます。
定期的なクリーニングで再感染を防ぐ
移植歯も天然の歯と同じように、プラーク(歯垢)がつくと炎症を起こします。特に歯ぐきとの境目は、歯ブラシだけでは汚れを落としにくい部分です。
そのため、歯科衛生士によるマイクロスコープ下でのクリーニング(PMTC)を定期的に行うことで、移植歯と歯ぐきを清潔に保ち、歯周病の再発を防ぎます。
唾液検査でリスクを「見える化」
のだデンタルクリニックでは、唾液検査(SMT)を用いて患者さん一人ひとりの虫歯・歯周病リスクを数値で分析します。
移植歯の長期安定には、「どんな菌が多いか」「酸性度が高いか」「唾液の防御力はどうか」など、お口の環境を把握しておくことが欠かせません。
これにより、患者さんごとに最適なセルフケアを提案できます。
定期メンテナンスが何より大切
移植歯は生きた歯です。
そのため、歯ぐき・骨・噛み合わせの変化を定期的にモニタリングすることで、問題を早期に発見し、長期的な安定を守ることができます。
当院では、
- 3か月ごとのメンテナンス
- 年1回のCTまたはレントゲン再評価
を推奨しています。
院長より
「歯の移植は、成功した瞬間が“スタートライン”です。
その後のケアをしっかり行えば、10年、20年と使い続けることも可能です。私たちは、移植後のフォローを何より大切にしています。
“植えた歯を、育てていく”――そんな気持ちで一緒に見守っていきましょう。」
まとめ
| ケアの ポイント | 内容 | 目的 |
| 安静期間の 確保 | 2〜3週間は 噛む力を避ける | 骨と歯の 安定化 |
| 噛み合わせ 調整 | 定期的な 咬合確認 | 負担を軽減し長持ちさせる |
| プロケア | マイクロスコープ PMTC | 感染・ 歯周病予防 |
| 唾液検査 | リスクの 可視化 | 再発防止とセルフケア提案 |
| 定期通院 | 3〜6ヶ月 ごと | 長期安定・ 経過観察 |